Mother Earth通信69号(2025年12月発行)
年々、1年が過ぎるのがあっという間に感じられるようになりました。子どもの頃は初めての経験が多いため、記憶に多く刻まれるそうです。ところが大人になると、日々の行動がルーティン化し、脳が効率化を図るため、記憶に残る出来事が少なくなります。そのため、時間が早く過ぎたように感じるようです。
私はルーティンが好きなタイプで、毎日同じでも苦になりません。年齢を経て、今の暮らしの方が脳的には楽になりました。
毎夜子どもを寝かしつける時に、1日の出来事を色々聞きますが、毎日多くを見て、多くを感じているようです。毎日が子どもにとっては新鮮なのでしょうが、脳内は忙しそうです…。

今年は樹海ツアーが印象深い体験でした。樹海の生まれた理由など
生命の不思議に触れた旅でした。子どもにも大人にもお勧め。
❖鍼ってやっぱり面白い
電気を流す頭皮鍼がきっかけで、鍼がどんな風に脳に作用するのか、注目するようになりました。手足や頭皮のツボに「身体を大きく変える」大事なツボが多くあるのですが、体幹から離れた末端になるほど脳、中枢への影響が大きいようなのです。
施術後、こんな言葉をよく頂きます。「身体が軽い!生き返ったみたい」
これは何が起きているのかなぁ…。筋肉の緊張が緩んで、関節の可動域が上がるから?コリがほぐれて血流が良くなっているから?内臓機能が上がって、胃腸の働きが良くなるから?美容鍼&整体の場合は、顔も身体もリフトアップしているから?
多分、全部正解。けれど今回注目したのは、最近の鍼の研究結果で見えてきた脳内の神経伝達物質の分泌促進の部分です。
❖鍼の刺激は脳内を幸せにする
鍼が入ると、脳内の痛みを処理する領域の活動が調整され、痛みの感覚が和らぎます。エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌が促進されます。
また心地良さやリラクセーションに関わるセロトニン(精神の安定に関わる)やドーパミン(幸福感や意欲に関わる)などの神経伝達物質の分泌も促進されます。
さらにリラックス効果のあるホルモン「オキシトシン」の分泌を促し、自律神経の安定化につながっています。
これだけ脳内で幸せを感じるホルモンや神経伝達物質が出ているのなら、鍼の後はやはり「幸せ感」
「スッキリ感」「覚醒した感じ」を得るはず。
❖世界でも「鍼」は注目されている
私は日経新聞を愛読していますが、先日こんな記事を読みました。「中医学と西洋医学 融合が始動」シンガポールでは、西洋医学の医師と中医師が協力して患者を診る動きが始まっているようです。健康診断も相互の視点から診てもらえるし、慢性の痛みなど複数の症状がある場合「西洋医療では鎮痛剤の処方しかできない時に『はり治療』などで補完できることがある」とのこと。羨ましいですね。双方の出来ることを融合すれば、助かる人はたくさんいるはず。ニーズに合わせた医療が提供できます。
鍼は「痛み」の部分では特に、世界でも、かなり効果を期待されているようです。
❖30年近く鍼灸をやってきました
昔は「鍼灸なんて怪しげなもの」といった扱いをされていましたが、今はメディアのお陰もあってだいぶ世間の見方が変わりました。日々研究成果を出している研究者たちのお陰で、医学的根拠のあるデータもたくさん出てきて、ありがたいことです。
私に出来ることは日々新しい情報を取り入れて、今来ている患者さまに還元していくことと、思っています。今は勉強しようと思えば、いくらでもできる環境があります。日々たゆまず努力していきますので、来年もよろしくお願いいたします。12月30日まで開けています。新年は1月5日から始動。穏やかな良いお年をお迎えください。

